北海道の2自治体が核ゴミ処分受入れ手続きに応募の茶番劇

(続・納税者はそれを我慢できない)

 

 今朝の朝刊によれば、北海道の神恵内村寿都町が核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の処分地選定ための「文献調査」に応募する決定をしたという。長年にわたり核ゴミの受入れ先を探し求めたが叶わずほとんど絶望視されていた状況下でのこの大きなニュースは、政府と国民にとって待ちに待った朗報なのだろか。

 核ゴミの最終処分地の選定は、文献調査、概要調査、精密調査の3段階のプロセスで行われ、処分地を選定したい政府とそれに応ずる自治体の間の複雑な駆け引きを誘発する仕組みになっている。上記2自治体の決定はその第1段階の「文献調査」に応募するというもので、最終処分地選定までの全プロセスを受け入れるものではない。第1段階から第2段階への移行、さらに第2段階から第3段階への移行に当たっては、自治体も県も移行に反対することによって最終処分地の建設を拒否することが許されているのである。

 一方で、第1段階に参加する自治体には最高で20億円、第2段階に参加する自治体にはさらに70億円の交付金が支払われることになっている。だが、このようにして20億円または90億円の交付金を受け取った自治体は、上記のように、次の段階への移行を拒否することで最終処分地の建設を拒否することができる。露骨に言えば、自治体にとってこれほど「おいしい」話はめったにないので、オカネだけ受け取って、「はい、さようなら」と途中で逃げだす自治体が現れても少しもおかしくないのである。現在上記2自治体がそのような「不埒な?」考えを持っていないとしても、何年か後、住民の気持ちに変化がないという保障はないのである。

 これまで核ゴミ最終処分場の建設を受け入れる自治体がまったくなかったという絶望的な状況に直面した政府が、多額の交付金を「餌」にしてどこかの自治体を最終処分地選定プロセスに引き込もうというのがこの選定手続きの「ミソ」であることは明らかである。だが、そこまでしても、交付金を食い逃げされ、処分地は決まらなという可能性は排除できない。それでも政府は、今回の2自治体の応募によって、しばらくの間、「核ゴミ最終処分場の建設に向けた手続きは前向きに進んでいる」と言って、原発反対の動きに対抗できると考えているのかもしれない。

 ところで、自治体に支払われる上記交付金の出所は「電源三法交付金」といわれている。その資金は主として原子力発電所を運営している電気事業者が拠出することになっているようだが、その資金は電気料金に加算されて一般消費者が負担することになるので、税金と同様に、最終的に国民の負担になるのである。

 今回の2自治体の応募が、無駄なカネと時間を浪費する茶番劇に終わらないか、我々は注視する必要がある、